| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-300

糞を用いたアムールヒョウの遺伝的多様性の解明

*杉本太郎(北大・環境科学),永田純子(森林総研),Vladimir Aramilev(ISUNR),Alexander Belozor(ISUNR),東正剛(北大・環境科学),Dale R. McCullough(California Univ.)

ロシア沿海州南西部に生息するアムールヒョウは、森林伐採、山火事、密猟及び開発などによる影響を受け、現在絶滅の危機に瀕している。個体群の生態的、遺伝的特徴を把握するために、これまで冬季の足跡調査やラジオテレメトリー調査が行なわれ、また捕獲した個体の血液試料を用いた遺伝的解析も行なわれてきた。野生個体7頭の遺伝的多様性を調べた先行研究では、アムールヒョウの遺伝的多様性は極めて低く、近交弱勢が見られることで知られるフロリダピューマと同等であると報告している。しかし、分析した個体数が少なく、サンプリング地点が近いことから、遺伝的多様性を過小評価している可能性が考えられた。本研究では、生息地より広範囲にわたって採集された糞試料を用いて、個体数、分布、遺伝的多様性などの解明に取り組んだ。糞試料は多くの個体のDNAを容易に得ることが可能であり、絶滅危惧動物に対する研究試料として有効であることが知られている。本発表では、糞より識別した個体の遺伝的多様性について調べ、先行研究及び動物園個体群と比較した結果について報告する。また得られた結果から保全に関する提言を行なった。

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