| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-027

鳥散布植物の果実にみられる形態と栄養成分の関係

*田中 美那(金沢大学自然科学研究科),木村 一也,木下 栄一郎(金沢大学自然計測応用センター),田崎 和江(金沢大学自然科学研科),寺沢 なお子(金沢大学教育学部)

鳥散布植物は果実の果肉や種衣を報酬として鳥に与える代わりに種子を運んでもらう。果実には大きさ、色、形、栄養成分などの形質があり、これらは鳥の採餌選択に強く関わっている。特に果実の栄養価は、採餌行動など日常的に多くのエネルギーを必要とする鳥にとって重要な選択要素であろう。本研究では、様々な果実を用いてその栄養組成を明らかにし、果実形態や他の形質との関係性について解明することを試みた。

これまでに6種の鳥散布植物の果実を対象に栄養成分分析をおこなった。結果、種衣が食べられるさく果は三大栄養素(脂質・タンパク質・炭水化物)含量が多く、核果はさく果と液果にくらべて三大栄養素含量が少なく水分含量が85%〜90%以上と多かったことから、果実の栄養組成と形態のあいだに対応関係があることが推測された。

今年度は、石川県金沢市の二次林で採取した鳥散布植物22種を対象にして果実の形態とその栄養組成について検討をおこなった。果実が熟す9〜12月に採取した果実を、果実の栄養分析において一般的に用いられる方法(常温加熱乾燥法、酸分解法、ローリー法、直接灰化法)で分析し、水分、脂質、タンパク質、灰分、炭水化物の組成比および果実あたりの含有量と総カロリー量を求めた。本研究では、様々な鳥散布植物の果実について栄養組成を示し、果実形態と栄養価の関係性について紹介する。

日本生態学会