| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-104

極東における最終氷期以降の植生変遷3−アムール川流域

*片村文崇(京都府大農),池田重人(森林総研), 高原 光(京都府大農),竹原明秀(岩手大人文),内山 隆(千葉経済短大),Klimin, M. (Inst. of Water and Ecol. Prob. FEB RAS ), Bazarova, V. (Pacific Inst. of Geography FEB RAS)

アムール川河口域は,グイマツが優占する落葉針葉樹林である。河川沿いなどにはトウヒ属の分布も見られる。アムール川沿いのハバロフスク周辺地域では,モンゴリナラ,ハルニレなどの落葉広葉樹とチョウセンゴヨウが混交するチョウセンゴヨウ−落葉広葉樹混交林が広く認められる。また,山地ではトウヒ属の優占する常緑タイガが分布している。これまで,河口域のChlya Lake湖岸とTyapka湿原で得られた完新世における植生変遷が明らかにしてきた(高原ほか,2005)。今回,ハバロフスク北東約220kmに位置するGlusky湿原や南東約75kmのKija湿原から得られた最終氷期の亜間氷期(MIS3)におよぶ堆積物の花粉分析結果に基づき植生変遷を明らかにした。亜間氷期には,トウヒ属,グイマツが認められ,これらに低木性のカバノキ属,ハンノキ属,ツツジ科などの低木類が広がる植生が認められた。最終氷期最盛期には,これらに加えてイネ科草本の多い植生であった。完新世初期以降,モンゴリナラ,ハルニレ,オニグルミ,トネリコ属などの落葉広葉樹が増加し優勢となる。河口域のChlya Lake湖岸とTyapka湿原では,この時期にエゾマツが増加するが,落葉広葉樹もわずかに認められる。完新世後期には、Glusky 湿原とKija湿原において,五葉マツ亜属の増加が見られ、ハバロフスク周辺で、チョウセンゴヨウの分布が拡大したことが示唆された。

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