| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-116

地中海DHAB(深海高塩分無酸素海盆)におけるメイオベントス群集

*岩崎藍子(東大・海洋研), 小島茂明(東大・海洋研),野牧秀隆(JAMSTEC),北里洋(JAMSTEC)

地中海断層上に点在する地中海深海高塩無酸素海盆(DHAB)は、深海の特徴である高圧、貧栄養に加え、高塩分、無酸素、硫化水素の発生といった条件下にある、地球上で最も極限的な環境の一つである。このような地中海DHABにおいて、近年、真核生物である底生有孔虫の存在が確認された。しかしDHAB内ではどのような底生有孔虫群集が成立しているかについては全く明らかになっていない。そこで本研究はDHABへの底生有孔虫の適応生態を探ることを目的として、DHAB内の底生有孔虫群集の把握と、周囲の環境の底生有孔虫群集との比較を行った。調査は地中海DHABの一つで、生物に関しては未調査のMedee lake(クレタ島南西約100km、上部境界の水深約2930m、最深部の水深約3100m)で行った。調査はDHABのほぼ最深部に当たる地点(Center site)、縁辺部でDHABのすぐ外側にあたる地点(Outside margin site)、DHAB外の地点(Reference site)の計3地点で行った。解析から、Center siteの有孔虫群集は、他の2地点と比較して個体数、種数ともに少ないことが明らかになった。また、各地点でしか見られなかった種に注目すると、Center siteでは総種数に対してその割合が高く、Center siteの群集組成は他の2地点のものとは大きく異なることが分かった。一方で3地点に共通して出現する種も3種存在し、Center site の群集は周囲の環境には見られない種と周囲の環境にも見られる種で構成されていることが分かった。この2つのタイプはそれぞれDHABへの適応様式が異なることが示唆される。

日本生態学会