| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-206

海洋島における在来種と外来種との関係:小笠原諸島固有のカミキリムシ類は外来樹種をよく利用する

*杉浦真治(森林総研),山浦悠一(森林総研),槇原寛(森林総研)

一度も他の大陸と地続きとなったことのない海洋島では、外来生物の侵入が起こりやすいと考えられている。海洋島において、外来種による在来群集への侵入の程度と、在来種との関係性を明らかにするために、小笠原諸島におけるカミキリムシ類(鞘翅目:カミキリムシ科)と寄主植物との関係を解析した。その結果、カミキリムシ26種(うち外来5種)の幼虫が、28樹種(うち外来8種)を餌として利用しており、合計109の関係のうち41.3%に外来種を含んでいた。カミキリムシの在来種は、多くの外来樹種を利用しており、外来樹種を利用するカミキリムシの種数は在来樹種を利用する種数と変わらなかった。カミキリムシの在来種の多くは、幼虫が枯死木(部位)を摂食するため、寄主植物による防御を受けることも、逆に影響を与えることもほとんどない。これによって、在来カミキリムシ類は、外来種や在来種にかかわらず、さまざまな樹種を利用しているものと考えられた。また、外来カミキリムシ類は、在来カミキリムシ類ほどは在来樹種を利用していない傾向があった。これは、外来カミキリムシ類が、特定の外来樹種の木材とともに持ち込まれたことと関係していると考えられた。

日本生態学会