| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-228

同所的に生息している外来水生生物の駆除効果

*佐藤方博(生態工房),林真帆(生態工房)

自然環境に侵入した外来生物が、地域固有の生物相に大きな変化をもたらすことがある。我が国においても、全国各地の湖沼・河川下流部などの淡水域にミシシッピアカミミガメ、ブルーギル、ウシガエルなど複数の外来水生生物が定着しており、それぞれの分類群において優占していることが少なくない。近年、生物多様性保全のために外来生物を駆除する取り組みが、さまざまな組織・機関による活動が行われるようになった。しかし、そのほとんどの事例がオオクチバスやカミツキガメなど駆除対象種を限定しており、同所的に生息している外来生物を併せて駆除している事例はほとんどない。そこで、演者らは東京都立光が丘公園の池の外来生物全般を対象とし、種ごとに効率の高い捕獲方法や繁殖抑制方法を選択して複合的な防除を実践した。

2006年と2007年の各年5月〜10月の50日間で、張網、蟹かごなどの定置性漁具や巻網、人工産卵床などを併用して、外来水生生物の駆除を行った。この結果、カミツキガメとミシシッピアカミミガメなどの外来カメ類においては、2007年の1日当たりの捕獲数は2006年より減少していた。しかし、ウシガエル、ブルーギル、アメリカザリガニにおいては、1日当たりの捕獲数が2006年と2007年でほぼ同程度であったため、個体数が減少している傾向は見られなかった。

今回の防除方法は外来カメ類に対して有効であったが、カメ類以外の駆除対象種に対してはあまり効果的ではなかった。当該防除方法における捕獲時期や捕獲作業頻度は適当であると考えられる。そのため、ウシガエル、ブルーギル、アメリカザリガニの低減化には、より効率的な捕獲方法や捕獲ワナの導入が必要であることが示唆された。

日本生態学会