| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-235

刈り取り管理の時期を変えてオニウシノケグサを減少させる−河川堤防草地の9年間の変化−

星野義延・根本真理・松波敦・村松篤・小西道子(東京農工大・農)

東京都あきる野市の多摩川のオニウシノケグサが優占する河川堤防草地において,刈り取り管理の時期と回数を変え,9年間の植生の変化を追った.調査地では,刈り取りの時期及び回数が1997年まで6,8,11月の年3回であったものを,1999年以降3,10月の年2回に変更した.1998年から2006年にかけて計5回,5〜6月に調査をおこない,調査地に生育する植物種の被度の変化を把握した.調査地に2m×130mのコドラートを設置し,サブコドラート(面積2m×2m,計65個)毎に出現種とその被度をLondoの被度階級値を用いて記録した.1998年にはオニウシノケグサはすべてのサブコドラートに出現し,出現時の平均被度が23%の,第一優占種であったが,2001年,2004年には,出現サブコドラート数は60,55と,出現時の平均被度も5%,2%と減少した.2006年には半数以上のサブコドラートで消失し,出現時の平均被度は1%未満,平均被度の順位は47位となった.一方,目立って増加したのはススキであり,2000年以降すべてのサブコドラートに出現し,1998年の出現時の平均被度は6%であったが,2001年には20%までに増加し,2006年には60%にまで増加した.1998年時平均被度の順位は17位であったが,2001年に二位,2004年以降は調査地の第一優占種となった.春先の刈り取り管理は冬緑性のオニウシノケグサに大きなダメージを与えること,夏場の刈り取り管理を中止したことでススキの被度が増加したことが原因で,オニウシノケグサを減少させることができたと考えられる.

日本生態学会