| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-238

外来植物の防除に利用する除草剤グリホサートの飛散が在来植物に及ぼす影響の評価

*池田浩明,林 成振,相田美喜(農環研)

外来植物の防除に除草剤を使用する際には、非標的植物である在来種への生態リスクを事前に評価し、安全な使用方法を検討する必要がある。本研究は、外来植物の防除において有望と考えられる除草剤グリホサートを対象に、在来の普通植物で生育形の異なるコウキクサ、ヒルムシロ、ヨシを用いて毒性試験を行い、薬剤が飛散して在来植物にかかった場合の影響を評価する。

除草剤は、グリホサート・アンモニウム塩を有効成分とするラウンドアップハイロード(日産化学)を供試し、噴霧処理(ハンドスプレーで茎葉部に一定量を噴霧)と塗布処理(マイクロピペットで葉面に一定量を塗布)を行った。コウキクサは水耕液100 mLの入ったビーカー(19.6 cm2)を用い、処理後7日間人工気象室(24時間明期、24℃)で育成し、葉状体数を計数した。ヒルムシロはワグネルポット(200 cm2)を用い、自然光・温度下の湛水土耕(水深5 cm)で処理後21日間育成し、乾物重を測定した(2007年7月実施)。ヨシはプラントボックス(36 cm2)を用い、湛水土耕(水深0-1 cm)により処理後7日間人工気象室(16時間明期、30/20℃)で育成し、乾物重を測定した。

噴霧処理の50%影響量(ED50)は、コウキクサで最も低く、標準施用量(0.458 gグリホサート酸/m2)のほぼ半量だったが、ヒルムシロとヨシのED50は標準施用量より高く、感受性は低かった。また、塗布処理のED50は、ヨシでは噴霧処理より低く、標準施用量の1/3量だったが、ヒルムシロでは標準施用量より高く、噴霧処理と同等に感受性は低かった。したがって、グリホサート剤の飛散が在来種に及ぼす影響は種によっても処理方法によっても大きく異なり、グリホサート剤を利用する場合には、事前に在来植物の出現状況を調査し、安全性を確保する必要がある。

日本生態学会