| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-244

分布情報を基にした島嶼生態系における特定外来生物ナルトサワギクの防除可能性

藤原道郎,大薮崇司,澤田佳宏,山本聡(兵庫県大自然研/淡路景観園芸学校)

分布情報を元に閉鎖空間と考えられる島嶼生態系における特定外来生物ナルトサワギクの防除の可能性を検討した.

兵庫県淡路島(南北約54km,東西25km)を対象に2005年4月から2007年12月に調査を行った.

GPSと連動させたデジタルカメラで撮影し,緯度経度から位置特定を行った.撮影は景観レベル(周辺環境を解明),群落レベル(群落の広がり),コドラートレベル(共存種)の3段階で行った.また,1×1mのコドラートを設置し,出現種の優占度,群度を記録した.

淡路島北部と南部とで比較した場合,分布地点数,群落面積ともに南部で極めて大きいことが明らかであり,1998年以降に竣工したダム周辺道路法面における大面積の分布地の存在が顕著であった.ダムを中心として道路沿いに分布していたが,群落面積はダムから離れるにつれ減少した.北部における分布は点在しており,群落面積も小さいものであったが,放置するとシードソースとして機能し拡大が予想された.北部においては点在している群落が多く,各分布地点での除去により分布拡大抑制は可能のように思われた.しかし,散布済みの種子および工事用車両などに伴う再侵入による再生の可能性が高く,継続的な除去が必要であると考えられた.南部においては,各群落の面積が広い上,連続して分布しているため,一斉に除去することは困難であり,ダムにつながる道路の拡大先端部,国道28号線の北側拡大先端部からの除去による拡大防止が効果的であると考えられた.

特定外来種の防除には地域住民の適切な関わりが不可欠である.そこで分布データをもとに地域住民に対して情報提供を行うとともに啓発のためのホームページを開設した.

日本生態学会