| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-138

雌雄異株イチジクFicus fistulosaにおけるポリネーターの数の検証

*片渕正紀(東北大・生命), Rhett Harrison(地球研), 中静透(東北大・生命)

一つの花序内でコバチと種子を同時に生産する雌雄同株イチジクと異なり、雌雄異株イチジクはコバチと種子を生産する花序が分かれている。雌雄同株イチジクでは種子・コバチ生産のトレードオフの存在、つまり花序あたりの侵入雌(ポリネーター)の数が増えると受粉率は上がると考えられるものの、産卵数や幼虫数の増加で被食が増えることにより種子生産が減少することが知られている。これに対し、雌雄異株では、雌株での被食は起こらないため侵入雌の増加が種子生産の増加につながると予想される。このように侵入雌の数はイチジクの繁殖に大きく影響すると考えられるが、雌雄異株で自然状態の侵入雌の数と種子生産の関係を野外個体群で調べた研究はこれまでない。本研究では、(1)花序あたりの侵入雌の数とその分布を観察し、それらを決める要因を明らかにすることと、(2)花序内での種子・コバチ生産のトレードオフが解消されているのか明らかにすることを目的とした。

雌雄異株イチジクFicus fistulosa(クワ科)とそのポリネーターであるコバチCeratosolen constrictus(イチジクコバチ科)を対象とし、マレーシア・サラワク州ランビルヒルズ国立公園周辺の二次林で調査を行った。その結果、侵入雌の数は花序間で大きく異なっており、サンプリングの時期と隣接個体の有無が交互作用を持つ形で影響していた。またF. fistulosaの花序あたりの種子数は侵入雌の数とともに増加していた。以上の結果から、フェノロジーや局所スケールでの生態的要因が花序に入る侵入雌の数に大きな変異を生み出し、それがF. fistulosaの繁殖に大きな影響を与えていることが示唆された。

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