| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-142

新大陸産マメゾウムシMimosestes属の寄主植物利用の進化

*加藤俊英(東大・広域システム),Arturo Bonet(Instituto de Ecologia・A.C. Mexico),Jesus Romero(Colegio de Postgraduates,Instituto de Fitosanidad, Mexico), 嶋田正和(東大・広域システム),伊藤元己(東大・広域システム)

Mimosestes属(ハムシ科)は、新世界から17種が知られるマメゾウムシ亜科の一群で、マメ科の種子食者である。多くの種がネムノキ亜科Acacia属植物を寄主として利用しており、高い寄主特異性を示すが、一部ジャケツイバラ亜科を寄主とする種が存在し、その中には広食性の種も含まれる。また、複数種が同所的に生息している場合が多い。したがって、本属は、植食性昆虫における寄主特異性の進化・維持機構を研究する上で格好の材料と言える。しかしながら、これまでMimosestes属の系統・進化学的研究は全く行われていないため、本属内の系統類縁関係を明らかにした上で、食性の進化プロセスを推定する必要がある。そこで、本研究では、本属の進化学的研究の第一段階として、アメリカ合衆国とメキシコに分布する11種のMimosestes属を用い、ミトコンドリア上のrRNAスモールサブユニット領域とCOI遺伝子の一部を用いて分子系統解析を行った上で、マメゾウムシの産卵に影響を及ぼすと考えられる寄主植物のいくつかの形質(種子分散方式、二次代謝産物、フェノロジー、寄主間の系統的な距離)を得られた系統樹にマッピングすることで本属における寄主利用の進化パターンについて推定した。本講演では、それらの結果について報告する。

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