| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-201

伊豆諸島におけるウツギ(Deutzia crenata)の形態変異について

*笛木学,星野義延(東京農工大学・農)

本研究では緑化植物として利用され,伊豆諸島の緑化工事にも使用されている可能性があるウツギ(Deutzia crenata)について,(1)伊豆諸島とそれに近接する本州で形態的特徴の比較,(2)各地域のウツギ採取場所周辺の植生の比較を行った.

調査は伊豆諸島の八丈島,神津島,新島,大島と伊豆諸島に近接する本州の伊豆半島,房総半島,埼玉(定峰峠),群馬(塩沢峠)において156個体を採取し,花弁長,花弁幅,花糸長,花柱長,花筒幅,葉長,葉幅,葉の厚み,星状毛の本数,星状毛の長さについて計測を行った. また,サンプル採集地周辺で計40箇所の植生調査を行った.

ウツギの形態計測の結果,伊豆諸島の個体では本州地域の個体に比べ花冠サイズの大型化,星状毛本数の増大が認められた.

花弁長は伊豆諸島で平均13.1mm,本州地域で平均11.6mmとなり伊豆諸島のウツギは既存文献による花弁長を上回った.地域別にみると神津島の個体で平均14.0mmとなり伊豆半島,群馬,埼玉個体との間に有意差がみられた.花弁幅は伊豆諸島で平均5.4mm,本州地域で平均4.3mmと伊豆諸島で幅が広くなり,地域別にみても神津島個体の5.9mmを最大として伊豆諸島各島と本州各地域との間に有意差がみられた.

星状毛本数は伊豆諸島の平均が14.0本,本州地域の平均が12.8本となり,既存文献で示される花筒の星状毛本数の範囲内であった.八丈島個体の平均値は15.2本となり,他地域と有意な差がみられ,花弁縦横比でも本州地域の個体と明らかな違いがみられた.

植生調査の結果から,伊豆諸島のウツギはオオバヤシャブシ-ニオイウツギ群集の構成種と考えられ,形態の大きく異なる八丈島のウツギはその中でもタブノキ,ホルトノキなどにより識別される下位単位に特徴的に出現していた.

日本生態学会