| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


シンポジウム S01-2

植物の自然集団を用いた適応的遺伝子の検出の試み

津村 義彦(森林総研)

植物集団は過去の気候変動により分布変遷を繰り返し行って様々な環境に適応してきた。この適応の過程でそれぞれの集団は異なる淘汰を受けてきている。そのためにそれぞれの環境にあった遺伝子型の個体が生き残っている可能性がある。これらの遺伝子を検出する試みが行われ、いくつかの生物種で興味深い知見が蓄積されてきている。適応的遺伝子の検出方法は量的形質遺伝子座(Quantitative Trait Loci; QTL)のような連鎖地図ベースの方法と遺伝子の塩基配列情報と形質との関連を調べるアソシエーション研究、塩基配列情報に基づく中立性の検定法、多遺伝子座を用いた集団解析法などがある。これらの方法について本講演で概説を行う。また事例研究として多遺伝子座による集団解析法を用いたスギ天然林研究を紹介する。非モデル植物でこのような研究を行う場合に、どのようなアプローチを取れば効率よく適応的な候補遺伝子の検出が行えるかについても紹介する。

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