| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


企画集会 T04-4

害虫防除におけるDNAバーコーディングの利用

三浦一芸(近中四農研)・前藤 薫(神戸大・院・農)

地球上の既知の生物の総種数は約175 万種である.このうち,昆虫類は約95万種と種数の大半を占めて多様性が高く,様々なグループをよく調べてみると,形態的に顕著な差異が認められる種,似ている種,かなり似ている種,非常によく似ていて区別が難しい種などがあって,形態的多様性が高いことが窺える.応用昆虫学においては,害虫や天敵の種名を正しく知ることがまず必要で,かつ重要なことである.例えば,種名が分からないと害虫の防除法が特定できない.また,寄生蜂のように多様で微小な分類群では,正確な識別以前に,大まかな検索からして形態では困難である.

害虫であるシルバーリーフコナジラミ,タバココナジラミB系統およびタバココナジラミQ系統は外部形態ではまったく区別がつかない.しかし,各系統では,薬剤に対する感受性や媒介者としての働きが異なっている.一方,害虫だけではなく,害虫防除に利用される天敵も同様である.例えば,タマゴバチ類では外部形態がほとんど同じであるが,害虫に対する特性が異なる.

では,迅速で正確な識別を誰が行うのだろうか?近年の分子生物学の発展により,DNA解析は比較的容易にできるようになった.核やミトコンドリアのDNAに基づく種や系統,個体ごとの識別法もRAPD,AFLP,PCR-RFLP,マイクロサテライト,マルチプレックスPCRなどを利用し開発されてきており,これらの技術は「サルでもできる」と言われるぐらい簡単になりつつある.また,最近では,外注しても比較的安価かつ短時間でデータを得ることができる.

本講演では,DNAバーコーディングを中心に,分子生物学的技術の害虫防除への応用について例を挙げてわかりやすく解説したい.

日本生態学会