| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(口頭発表) G1-12

ミミズが土壌の団粒量と窒素動態に与える影響 -苫小牧研究林におけるフトミミズ除去による効果-

*川口達也(横浜国大院・環境情報), 日浦勉(北大・苫小牧研究林), 岩島範子, 増永二之(島根大・生物資源), 大久保慎二, 金子信博(横浜国大院・環境情報)

ミミズは土壌生態系の環境を改変し、微生物やその他の土壌生物の活動に大きな影響をあたえるため、生態系改変者と呼ばれている。これらは粒状の糞(糞団粒)を排泄する。特に、表層性のミミズは、リター由来の有機物を摂食するため、有機物を多く含む糞団粒を表層に排泄する。このような糞団粒の一部は乾燥過程で耐水性団粒となり、ミミズの死後も長期にわたり地表に残る。

本研究ではミミズ自体が直接的に糞団粒量を変化させ、その糞団粒量と糞の新しさが土壌の無機態窒素量に影響を及ぼしていると考えた。北海道大学苫小牧研究林のミズナラが優占する二次林に、一辺が10 mの三角形の実験区を12箇所つくり、ミミズ排除区、囲い対照区、開放対照区を各3反復設置した。ミミズ排除区では、5年にわたり、ミミズの除去を行った。ミミズ除去操作を行うことにより、時間が経過した古い耐水性団粒が地表に残り、新たな糞の供給は停止する。それに比べ、非除去区では、新たな糞が供給され続ける。ミミズ密度、現存量、リター堆積量の変化という直接的要因と、ミミズの活動産物である2 mm以上の糞団粒量間接的要因に着目し、栄養塩動態、特に窒素動態について明らかにした。

ミミズ密度、現存量は年変動が大きかったが、囲い対照区に比べ、ミミズ除去区では団粒量が減少していることが示された。団粒量は、土壌の全炭素、全窒素、アンモニア化成速度と相関関係が得られ、栄養塩を多く含む糞団粒が、土壌の栄養塩動態に影響を及ぼしていることが示された。


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