| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(口頭発表) K2-03

グンバイがセイタカアワダチソウ上の昆虫群集に及ぼす影響

*秋山賢太, 近藤倫生(龍谷大・理工), 安東義乃(京都大・生態研センター)

生物学的侵入が既存の生物群集にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることは、生物多様性保全にとって重要な課題である。アワダチソウグンバイ(Corythucha marmorata)は、セイタカアワダチソウを主に利用する吸汁性昆虫であり、日本国内では最近になって存在が確認された北アメリカ原産の外来昆虫である。セイタカアワダチソウ上では原産地を同じくするセイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシ(Uroleucon nigrotuberculatum)が優占種として存在していた。しかしながらグンバイの定着した後は、アブラムシだけでなくグンバイも優占種として確認されるようになった。かつてセイタカアワダチソウ上ではアリとアブラムシの共生関係などの従来の被食‐捕食関係に基づく相互作用だけでなく、植物の形質の変化を介した複雑な相互作用網が形成されていたことが先行研究から明らかとなっている。グンバイの優占に伴いセイタカアワダチソウ上の昆虫群集にどのような変化が生じたのだろうか。アワダチソウグンバイは、吸汁することによって葉を脱色し植物の光合成効率を低下させることが知られており、同じ植物を利用する植食性昆虫に対して何らかの影響を与える可能性がある。本研究では、野外に設置したセイタカアワダチソウの鉢植え上のグンバイ密度を操作することによって、グンバイがアブラムシやセイタカアワダチソウ上の昆虫群集に与える影響を調べた。また、グンバイの吸汁が植物の餌資源としての質に与える影響にも着目する。


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