| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PA1-197

稲刈り時期はその後の雑草群落発達にどの程度影響を及ぼすか

*山田晋(東京大・農),山本勝利,楠本良延,徳岡良則(農業環境技術研究所)

稲刈り後の水田区画は,水田耕作に伴う種々のかく乱に適応した多様な湿生植物の生育地である.毎年同じ方法で営まれているかに見える農法は,時代とともに変化し,それが,植物の生育状況に影響を及ぼしてきた.なかでも近年の稲作の早期栽培化が及ぼす影響は大きいとされる。そこで本研究では,稲刈り時期の早晩がその後の個別種の生育および成立植生に及ぼす影響を解明すべく,耕作水田の表土を晩夏から秋季に撒き出し,植生の観察を行った.

表土は,8月中旬,多摩丘陵の谷底部に位置する未整備の水田より採取した.8月下旬,9月上旬・中旬・下旬,10月上旬の5時期に分けて撒き出しを実施し,その後,土壌を過湿に保ちながら,10月1日・15日,11月6日に生育個体の同定を行った.

その結果,9月中旬までに撒き出しを行った実験区(以下,撒き出し区)における11月の生育種数は,9月下旬以降の撒き出し区より有意に多かった.夏季一年草のヒデリコ,コナギは,9月中旬までの撒き出し区に限り出現した.出現した個体の大部分は9月中に発芽しており,10月以降の発芽個体は少なかった. 9月中旬の撒き出し区では,出現個体数に占める開花個体数の割合が低下した.多年草のミズニラ,コウガイゼキショウは,8月下旬から9月下旬の撒き出し区において出現が確認された.9月中に発芽した個体よりも10月の発芽個体が多かった.スズメノテッポウやミズハコベは,撒き出しの時期によらず確認された.

種ごとに異なる傾向もみられたものの,以上のように,撒き出しの時期に応じたその後の個別種の反応は,生活史ごとに類似する傾向がみられた.上述の種のうち,スズメノテッポウ,ミズニラ,ミズハコベは田植え前の5-6月が開花結実期となる.今後も発芽個体の観察を継続し,稲刈りの時期が田植え前における植物の生育に及ぼす影響を明らかにしていく.


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