| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PA1-213

福島県浜通り北部におけるトウホクサンショウウオの結節の発生状況

伊原禎雄(奥羽大)

日本のサンショウウオ類では稀に外皮に結節が観察されるが、観察されるその結節は通常少数である。しかしながら、2000年、福島県浜通り地方北部の伊達市梁川町の2箇所にて、これまで知られていない全身の外皮を多数の結節で覆われたトウホクサンショウウオが発見された。その後、2002年に南相馬市原町区大原大芦で、2003年には飯館村大倉木戸木で、2008年には伊達市梁川町と南相馬市馬場五台山でも同様の症状のトウホクサンショウウオが発見された。宮城県南部から福島県浜通り中部までの14箇所で2005年から2008年にかけて実施した調査の結果から、こうした症状の主な発生域は、これまでのところ浜通りの北部に限られていることが示唆される。しかしながら、2000年より繁殖個体のモニタリングを実施している南相馬市原町区大原大芦では、2002年から3年で同じ繁殖池を利用する全ての個体に結節が広がったことから、この症状は拡大傾向にあることが示唆される。この結節の原因については、一部のサンプルから吸虫のメタケルカリアが発見されたことから寄生虫による皮下結合組織の増生の可能性が高い。ただし、感染経路や突発的な発生原因については不明である。


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