| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PA2-433

鬼怒川中流域の河畔林におけるスイカズラの登攀様式と植生構造の関係

*中村満理恵,二階堂洋,柴田吉男,西尾孝佳(宇都宮大・雑草セ)

日本における外来植物問題と同様に,海外へ持ち出された日本原産の植物の一部は自然生態系に逸出し,深刻な雑草被害をもたらしている。その一つであるスイカズラ(Lonicera japonica)は,日本などを原産地とする木本性ツルで,北米,豪州,ニュージーランド,ハワイ諸島などへ園芸導入された後,鳥による種子散布などを通じて河畔や林縁などに雑草化した。特に,ニュージーランドやハワイ諸島では雑草化が顕著で,現在は有害植物として法的に輸入が禁止されている。一方で,原産地域である日本や中国などでスイカズラは顕著な雑草性を示しておらず,導入地域での雑草化には,立地環境や生物間相互作用の地域差が関係すると予測される。そこで本研究では,導入地域におけるスイカズラの雑草性発現機構を評価するために,原産国である日本における分布・登攀様式と植生構造の関係,他の木本性ツルとの相互関係について解析した。

調査は鬼怒川中流域に位置する栃木県宇都宮市柳田緑地運動公園内の河畔林周辺(N36°03′,E139°58′, 標高111m)において実施した。種組成及び相観により分類した3タイプ(落葉広葉樹林,常緑-落葉混交林,落葉低木林)の群落にベルトトランセクトを設置し,植生の空間構造,スイカズラ及び他の木本性ツル種の出現様式を解析した。対象とした木本性ツルは,その形態的特徴である地這部と登攀部に区分して分布様式を比較した。その結果,(1)高木林の林床はアケビとキヅタが優占する,(2)太くて高い対象にはキヅタ及びツタが,細くて低い対象はアケビ及びスイカズラが優占または選択して登攀するなどが示唆された。


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