| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PA2-511

最上位捕食者の分散能力が食物連鎖長に与える影響

*長田穣,宮下直(東大・農)

食物連鎖長は物質循環や生物濃縮に関係する群集特性であり、古くからこの特性が何によって制限されているのかは生態学の中心的な課題の一つであった。現在は資源の制約や環境の異質性、撹乱など生態系レベルの要因により主要な説明がなされ、これらの要因については実証的な証拠も増えつつある。その一方で、体サイズや適応的行動といった種特性が食物網構造に大きな影響をもつことが近年理解されはじめた。こうした種レベルの要因も食物連鎖長の制限要因となることが予想される。特に最上位捕食者の種特性により食物連鎖長が制限されるとすれば、ある捕食者が最上位捕食者たりうるには特定の種特性が必要となることを意味する。そのため、このような種特性の探索は潜在的な最上位捕食者を推定し、それらが群集全体の動態や構造に与える影響を理解することにつながると考えられる。

本研究では、空間構造をもつ群集における食物連鎖長の制限要因として最上位捕食者の分散に着目した。二つの群集の動態をLotka-Volteraモデルを用いて解析し、最上位捕食者の分散能力が食物連鎖長に与える影響について議論する。


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