| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PB1-295

山地渓谷域における複数の支流の合流が異なる植生ハビタットを創出する可能性

*木村誇, 菊池俊一,丸谷知己(北海道大・農)

渓畔域では、河川作用によって発生する多様な攪乱レジームと、それにより形成されるハビタットの不均質性が多種の共存を可能にしているといわれている。これらの環境を創出する攪乱の発生は確率論的に扱われてきたが、近年の流域スケールでの水・土砂移動に対する理解の前進は、この攪乱規模・頻度が河川ネットワークによって時空間的に構成されていることを示唆している(Benda et al. 2004)。河川ネットワークの特徴的構造は河川の合流である。これが渓畔域のハビタット不均質性に及ぼす影響については、河床の礫径組成の変化を通して水生昆虫群集で示されているものの(Rice et al. 2001)、渓畔林植生への影響が検討された事例はほとんどない。

北海道日高西部地方の宿主別川上流域において、12箇所(本流拡幅区間と狭窄区間でそれぞれ9箇所と3箇所)の支流域を対象に、堆積地形状および堆積地上の植生調査を行った。この地域では2003年豪雨により多数の新規崩壊地が発生し、大量の土砂が本流へと流入した。そのため、本流の氾濫原や扇状堆積地上の植生も埋没・枯死したものが多い。この豪雨により発生した攪乱規模と攪乱以前の植生構造を知るために埋没林も調査対象に含めた。各支流の扇状堆積地上の植生を相観から5つの遷移段階パッチに区分し、パッチ形状と樹木サイズに合わせて設置したプロット(4〜675m2)内において、樹高1.3m以上の個体の種名・DBH・生死・かぶり堆積による埋没の有無を記録した。これらの結果から、支流の合流に伴う堆積地形成が本流渓畔域のハビタットに異なる影響を及ぼしているかを検証する。


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