| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PB2-661

一回繁殖型多年草カワラノギクの種子発芽に及ぼす父親と母親の遺伝的効果

*加賀屋美津子,谷享(環境科学技術研究所),可知直毅(首都大学東京)

実生時期は生活史の中でもっとも死亡率が高く、変動する野外環境では、種子発芽時期がばらつくことは子孫を残す上で重要と考えられている。実生出現時期の種内変異を引き起こす要因として、散布された種子の微環境、母親の生育環境、母親の遺伝的変異が注目されてきた。しかし、発芽は父親と母親それぞれに由来する遺伝子を持った胚の成長によって起こることから、種子発芽時期の種内変異には、父親の遺伝的変異も関与している可能性がある。本研究では、種子休眠性を持たないにも関わらず、野外において、実生出現時期の顕著な変異が見られるカワラノギクを用いて、種子発芽に及ぼす父親と母親の遺伝的効果を調べた。カワラノギク種子を野外の1集団から採取し、実験圃場で栽培した。人工受粉による5個体の総当たり交配を3セット行い、得られた種子の発芽時間(給水開始から発根までの時間)を恒温器内で測定した。その結果、種子発芽時間には、母親の効果だけでなく、父親の効果および父親と母親の交互作用の効果も認められた。これまで、野外におけるカワラノギクの実生出現時期の変異には、種子間の水分条件の違いが関与していることが示唆されている(Kagaya et al. 2005. Can. J. Bot. 83: 329-334)。今回の結果は、このような環境要因と母親の遺伝的効果だけでなく、父親の遺伝的効果と父親と母親の組み合わせによる遺伝的効果も野外の実生出現時期の変異に関与しうることを示唆するものである。


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