| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


企画集会 T11-2

持続的牧畜経営にむけた大規模野外実験からみえてきたもの

進藤 和政(国際農林水産業研究センター)

国際農林水産業研究センターでは、北東アジアの乾燥地域を対象とした持続的な家畜生産システムの開発のために「北東アジア乾燥地における持続的農牧システムの開発」プロジェクトを2006年より実施している。本講演では、このプロジェクトの中で2007年より開始した放牧試験について紹介する。

放牧試験は草地の持続性に対する放牧の影響を評価することを目的とし、モンゴル国トゥブ県ボルノール郡(北緯48°41′、東経106°27′、標高1100m)で実施しており、放牧圧の植生へ対する影響や家畜種の違いによる植生への影響の調査をおこなっている。また、放牧試験下の草生産量、家畜の採食量および家畜の増体といった放牧の基礎データについても調査している。

放牧試験を開始してまだ2年間の結果しか得られていないので、植生に対する放牧の影響評価については考察できるほどのデータが集まっていないが、本放牧試験における放牧の基礎データについてはデータが得られ、本試験の草地の年間生産量はha当たりの乾物重で1500kg程度、ヒツジの1日あたりの採食量はヒツジの体重に対して3から4%程度であった。


日本生態学会