| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(口頭発表) F2-05

堆積物におけるコイヘルペスウイルスの検出・定量

*本庄三恵, 源利文, 川端善一郎(地球研)

人畜感染症や野生生物への感染症の拡大が顕在化する昨今、その発生メカニズムの解明や予防策提案のために、病原体の環境中での動態を明らかにすることが極めて重要となっている。コイヘルペスウイルス(KHV)病は、1990年代後半に発生したコイにのみかかる新興感染症で、養殖コイのみでなく天然河川や湖沼にも広がり野生コイの大量死を引き起こした。我々のこれまでの研究で、2004年に10万匹以上の野生コイの大量死が確認された琵琶湖において、約6年後の現在も水中にKHVが存在し、自然生態系にKHV病が定着したことが確認されている。しかし、病原体であるウイルスの環境中での分布や動態は十分わかっていない。

本発表では、コイの摂餌行動や生態の特徴から巻き上げなどによる接触の可能性が高い堆積物に着目し、堆積物中のKHVの分布およびその起源となる濁水中鉱物への吸着の有無を検証した。琵琶湖およびその集水域の湖底堆積物10−20gを採取しPCRにより検出を試みた結果、12サンプル中11サンプルからKHVが検出された。また、2007年・2008年のサンプルでは、水中濃度より2ケタ以上多い105/kgオーダーのKHVが検出され、堆積物がウイルスを蓄積している可能性が示唆された。次に、鉱物粒子を大量に含む代掻きによる農業濁水中に、既知量(104/mL)のKHVを添加し、鉱物粒子へのウイルスの吸着の可能性を検証した。その結果、鉱物粒子からKHVが検出され、その濃度(1.6-1.9×106/g)は水中濃度より高く、KHVが鉱物に吸着することが分かった。以上の結果から、KHVは水中より堆積物中に高濃度で存在することがあること、また代掻きによる濁水がKHVの動態を変化させ、堆積物へ濃縮させる可能性が示唆された


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