| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-024

広葉樹二次林の環境と植生構造への地形の影響

*西野 翔(茨城大・理),山村 靖夫(茨城大・理)

斜面の方位や傾斜,斜面上の地形位置の違いは,光条件や水分条件,温度条件などの差異を生み出し,植生に大きな影響を与えている。

本研究では,茨城県北部の広葉樹二次林において,谷を挟んで向かい合う北向きと南向きの斜面にそれぞれ10 m×50 mのトランセクトを設置し,それぞれのトランセクトを10 m×10 mのコドラート5つに区切り,植生調査及び環境調査を行った。植生調査は,各コドラートに出現する胸高以上のすべての樹木のDBHを測定し,林床の各植物種の被度を接線法により求めた。環境調査は,各コドラートにおいて傾斜・土壌水分量・気温・林冠開空率を測定した。得られたデータをクラスター分析・DCA・CCAを用いて解析し,地形と環境,及び植生との関連を調べた。その結果,両斜面の最下部の林床植生は類似し,ヤブランやジャノヒゲ,アオキといった常緑の種が多く,他のコドラートとは区別された。環境では,他と比べて土壌水分量が多かった。これより上部では,北向き南向きともに斜面を登るにつれて植生は連続的に変化したが,北向きのコドラートと南向きのコドラートは別グループとして区別された。北向き斜面と南向き斜面の環境の最も大きな違いは,直達光の入射時間であった(南向き>北向き)。胸高以上の樹木については,マルバアオダモ・アラカシ・ネジキは南向き斜面の上部に多く出現し,コナラは北向き斜面の上部に多く出現するなど,斜面上部ほど北向きと南向きの植生の違いは大きくなった。

本研究で,谷部はその豊富な土壌水分により特徴的な植生を生み出し,それより上部の北向き斜面と南向き斜面の植生の違いは,今回調査した環境要因の中では直達光の入射時間と最も関係が深いということがわかった。


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