| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-188

オオヤマオダマキにおける花序内の花ごとの形質と自殖率の関係

板垣智之, 酒井聡樹(東北大・院・生命)

花序内の花ごとに、生産種子の自殖率に違いがあるかを調べた。花形質に違いがあるなら、花間で自殖のしやすさに影響があるのではないだろうか。本研究では、花序内に2-3個の花をつけるオオヤマオダマキを材料に、早坂高原・袖山高原(岩手県)の野外集団で調査を行った。花序内で1番目と2番目に開花する花で、花形質(花サイズ・花粉数・胚珠数)、繁殖成功(放出花粉数・種子数・自殖率)を比較した。また、繁殖成功に影響すると考えられる要因として、ポリネーターの訪花数・滞在時間を調べた。自殖率測定のため13遺伝子座のマイクロサテライトマーカーを用いた遺伝型分析を行った。

その結果、1番目の花の方が自殖率が高い傾向が見られた。放出花粉数・種子数も1番目の花の方が高かった。さらに、1番目の花は、花サイズが大きく花粉・胚珠数も多かった。訪花数・滞在時間は花間で差は見られなかった。

これらの結果から、1番目の花は、花粉数が多いために自殖しやすいのではないかと考えられる。1番目の花は花粉の生産数・放出数が多く、花粉親としての繁殖成功が高いと期待される。しかし、花粉生産数が多いことで自家受粉の機会も多いのではないだろうか。2番目の花は、生産種子数が少ないが、他殖種子をより多く生産することで繁殖に貢献していると考えられる。


日本生態学会