| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-234

暖温帯域におけるシロハラの種子散布者としての働き

*平田令子,平井周作(鹿大・院・農),中川寛子,畑 邦彦,曽根晃一(鹿大・農),伊藤 哲(宮大・農)

シロハラは果実食性鳥類であり、日本における主要な種子散布者である。彼らは冬季に日本へ飛来し、特に暖温帯域で多数越冬する。秋〜冬季にかけて、彼らはヒヨドリやメジロなど他の主要な果実食性鳥類とともに、様々な植物の種子散布に貢献する。渡りをすることや昆虫類も主要な食物とすること、地上での採食や、小鳥類よりは体が大きいことなどは、他の主要な果実食性鳥類と異なる点であり、それらはシロハラが他種とは種子散布者として異なる働きを持つことを示唆させる。しかし、シロハラの種子散布者としての働きを他種と比較した例は、彼らが利用し得る果実の種類に関する比較以外は、ほとんどみられない。

そこで本研究では、シロハラの種子散布者としての働きを特に種子排泄の点から明確にすることを目的とし、種子排泄に関する生態学的な基礎情報として、1)種子排出頻度、2)排出種子数、3)種子排出方法、4)種子体内滞留時間を調査し、ヒヨドリとメジロの2種と比較した。また、シロハラによる種子散布が行われる環境を特定するために、彼らの生息環境を調査した。

調査は、2004年〜2009年にかけて、鹿児島大学構内、鹿児島大学高隈演習林、宮崎大学田野演習林で行った。種子排出頻度と排出種子数を調査するためにシロハラとヒヨドリ、メジロをかすみ網により捕獲して糞を採取し、内容物を判別した。また、種子排出方法と種子体内滞留時間を調査するために、捕獲した鳥類を鳥かごに入れて各種の果実を与え、採食と種子の排出の様子をビデオカメラで録画した。さらに、シロハラの生息環境を調べるために、ルートセンサス、プロットセンサス、定点観察を行った。これらの結果から、シロハラの種子散布者としての働きを明らかにした。


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