| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-282

生物指標による都市河川のコリドーとしての機能性とその連続性の評価に向けた研究」

*板川 暢:慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科, 一ノ瀬友博:慶應義塾大学 環境情報学部

都市河川がコリドーとしての機能を果たしているのか明らかにすることは、都市のエコロジカル・ネットワーク形成に必要不可欠である。生態的移動空間としての機能を検証するにあたって、生息空間機能の評価とともに連続性の評価が欠かせない。都市を流れる中小河川は、護岸・河床整備等により、本来持っていた生物生息空間としての機能は低下していると言える。本研究の目的は、指標種にトンボ類を用い、トンボ類の分布状況と河川及びその周辺の環境要因の関係を分析し、都市河川の持つ生息・移動空間としての生態的機能を明らかにすることである。

神奈川県横浜市の南西部を流れる柏尾川流域を研究対象地とした。柏尾川の中下流は市街地を中心に流れており、源流部は谷戸や住宅地、段丘面に残された斜面林等と様々なタイプがあることから、本研究の対象として適した河川である判断した。柏尾川本川と、本川に対して河川次数が1次の支流を対象とした。

調査はラインセンサス法を用いて実施した。左右両岸100mにかけて、水域側、域側それぞれ幅10mを調査範囲とし、種名、個体数、確認場所を記録した。調査の努力量を均一にするために、一定の移動速度(20m/分程度)とした。調査実施は、2009年6月〜2009年11月の期間内に、初夏(2010/06下旬〜07上旬)・盛夏(2010/08中〜下旬)・初秋(2010/10)の3回行った。

護岸の形状、傾斜の角度、川幅、水面・水際の植生・緑被率、抽水構造、周辺土地利用、河床形態、河床もしくは周辺の止水環境の有無等の項目等の環境情報とトンボ類の生息の関係性を、代表種を対象に一般化線形モデルから明らかにするとともに、種組成、個体数等からグループ化を行い、連続性の評価と分断要因の推定を目指す。


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