| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-325

マレー半島セマンコック丘陵林におけるShorea curtisiiの更新サイト

*八木橋勉(森林総研東北), 大谷達也(国際農研セ), 谷尚樹(国際農研セ), Abd Rahman Kassim(FRIM), 松井哲哉(森林総研北海道), 中谷友樹(立命館大・地理), 田内裕之(森林総研)

フタバガキは東南アジアの熱帯林を代表する樹木であり、低地・丘陵ともに広く分布する。しかし、低地帯では開発によって森林が極度に減少しており、すぐに天然林に戻すことは困難である。現時点で残された丘陵林の重要性が相対的に高まっており、丘陵林を持続的に利用し保全することは林業的にも生態的にも重要である。本研究では半島マレーシアの丘陵林で優占するShorea curtisiiに注目し、その更新環境を明らかにすることを目的とした。

1994年にマレーシアのセマンコック丘陵林内に4haの試験地を設定した。この場所では1988年に胸高断面積率にして10%相当の択伐が行われた。S. curtisiiの高さ30cm以上の個体についてすべてに標識を付け、4haのプロットを5m x 5mサイズのグリッドで区切り、どのグリッドに位置しているのかを記録した。胸高直径5cm以上の個体については胸高直径を測定し、それ以下のものは樹高を測定した。あわせて地形測量と全天写真による相対照度の推定も行った。2007年時点のグリッドあたりの稚樹数を被説明変数として、想定母樹(稚樹の最も近くにある胸高直径30cm以上の個体)からの距離、伐根からの距離、相対照度、Topographic Index(TI、本調査地では尾根谷の程度を反映する)、斜度の5つを説明変数として、誤差の空間的自己相関を考慮したベイズ階層ポアソン回帰モデルによる統計解析を行った。その結果、稚樹の密度は母樹からの距離およびTIと有意な関係がみられ、母樹から遠ざかると減少し尾根で多いことが明らかとなった。


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