| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-094

タマアジサイの葉の形態変異―箱根、房総、伊豆諸島において―

*中村未来(明治大・院・農), 倉本宣(明治大・農)

一般的に伊豆諸島に生育する固有・準固有植物の中には葉の大型化が見られる種があることが知られている。伊豆諸島準固有種であるラセイタタマアジサイHydrangea involucrate var. idzuensis hayashiはタマアジサイHydrangea involucrateの変種であり、葉の大型化が顕著にみられる種である。本研究では、本州に生育するタマアジサイと伊豆諸島に生育するラセイタタマアジサイの葉の形態比較を行った。

10月から11月にかけて、伊豆諸島三宅島(1地点)、八丈島(3地点)、本州の箱根(1地点)、房総半島(1地点)において、20個体から3枚ずつ葉を採取し、葉の厚さ、葉身長、葉幅、葉面積の計測を行った。

厚さにおいて、それぞれの平均値が三宅島0.260mm、八丈島0.243mm、房総半島0.184mm、箱根0.140mmであった。また、伊豆諸島では0.247mm、本州0.162mmであり、伊豆諸島の方が葉の厚さが厚い結果となった。それぞれの地点ごとに比較したところ、房総半島と八丈島三原山A地点(以下A地点とする)以外の本州と伊豆諸島の各地点において有意な差がみられた(p<0.05)。

房総半島とA地点において、有意差が見られなかったのはA地点において0.200mm未満の個体が少数存在したことが関係していると考えられる。

また、本州内で比較したところ、房総半島と箱根の間にも有意な差がみられ(p<0.05)、箱根よりも房総半島の方が葉の厚さが厚かった。

今発表では、葉の厚さ、葉身長、葉幅、葉身長/葉幅、葉面積についての解析の結果を発表する。


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