| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-224

タイワンハブ対策の現状と課題

寺田考紀(沖縄県衛生環境研究所)

沖縄本島に定着したタイワンハブは、名護市為又・中山地区を中心とし今帰仁村と本部町の一部を含む直径約6kmの範囲(名護集団)と恩納村山田周辺直径約4kmの範囲(恩納集団)に分布しており、特に名護集団では現在でも分布域拡大がみられる。名護集団の生息密度は年々増加しており、近年ではハブ捕獲器(生きたマウスを用いたトラップ)の捕獲率が0.5から0.6匹/台/月と沖縄本島中南部におけるハブ捕獲率の5倍以上の値になっている。咬傷事故も2009年までに6件発生しており、地域住民からの不安の声も大きい。対策としては、市町村役場が行っているハブ捕獲器の設置による捕獲が主である.2009年1月から12月までの各市町村が行ったハブ捕獲器による捕獲数は、名護市が58匹、本部町が52匹、今帰仁村が40匹、恩納村が197匹、4市町村合計347匹であった。また、2003年から2009年までの4市町村による捕獲総数は1,391匹になる。しかし、名護集団では未だ密度が増加しており、現在の捕獲器の運用では対症療法的な対策に留まっているのが現状である。捕獲器の保有台数や運用形態は各市町村によって異なり、運用台数の最も多い市町村で200台、少ない市町村で20台程度とその差も大きい。捕獲による密度低下と低密度維持に努めるのが望ましいが、捕獲数の目標設定やより効果的な駆除方法を検討するのと同時に、捕獲器運用体制の見直しと整備も必要だと思われ、課題はまだまだ多いのが現状である。


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