| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-237

熱帯外来樹種Calliandra calothyrsusが侵入したハリムン・サラック山国立公園の自然植生再生実験

*福田拓也(鹿大理工学),鈴木英治(鹿大理工学),Ekawati D.(ハリムン国立公園)

インドネシア、西ジャワに位置するハリムンーサラック国立公園内でハリムン山とサラック山をつなぐCorridor地域は、道路や畑により森林は分断され、自然植生が少ない。またその大部分の地域で外来マメ科植物のCalliandra calothyrsusが在来種に代わって優占し、自然植生の回復を妨げている。それはCorridor地域だけでなく国立公園全体の生態系に影響を与えている。本研究では、この外来種が自然植生の回復を遅らせている要因を考え、それらを評価するため、Corridor地域に異なる8つの処置を5回繰り返した5m×5m実験区を2008年11月に40個設置し、得られたデータから各処置がどのように自然植生の回復に貢献するかを1年間調べた。処置にはC. calothyrsusの幹を切る、根まで取り除く、在来種の埋土種子を含む森林表土を撒く、在来種の実生を植える、の4つを組み合わせた8通りの処置を行なった。

実験の結果、C. calothyrsusは成長が早く、根から萌芽繁殖するため、幹を切る処置だけでは効果が低く、根まで取り除く処置の必要性が示唆された。これら2処置は、在来種の中でも先駆種の加入を増やしたが、極相種はあまり増えなかった。植えた在来種Gordonia excelsaの実生は160個体中93個体が死亡し、残存する67個体は全体的に成長が遅かった。新規加入個体は合計746個体あったが、AltingiaSchima wallichiiが優占する森林表土の散布区と非散布区の間に、出現種の明確な違いは見られなかった。


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