| 要旨トップ | ESJ57 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


シンポジウム S15 -- 3月19日9:00-12:00 E会場

開花フェノロジー研究のスケーリングアプローチ:分子から景観まで

企画者: 工藤洋, 工藤岳

フェノロジーは、ダイナミックに変動する環境から生物がシグナルを受容し、活動のタイミングを決定するプロセスである。フェノロジーはその生物の生長や繁殖成功を決定する主要因となる一方で、実際の適応度は生物が活動をおこなう状況に応じて変化する。このシンポジウムは、植物の開花フェノロジーに着目し、様々なスケールにおける最近の研究の進展が概観できるよう、以下の2点に重点を置いて企画した。そして、今後のフェノロジー研究の展望となるような総合討論をめざす。

1.分子レベルからみたフェノロジー:複雑な環境変動の中で、いかにしてフェノロジーの調節がなされているかを理解しようとする研究が進みつつある。温帯、熱帯の自然生態系と農業生態系における、フェノロジー調節の分子基盤とそれに基づくフェノロジーの予測可能性を探る。

2.景観レベルでの生物相互作用のフェノロジー:生態系の基本骨格を構成する植物群集のフェノロジー構造は、生態系の構造と機能の関係を明らかにする上で大変重要である。気候的な季節性が極めて明瞭な高山生態系と、希薄かつ非予測的な熱帯多雨林生態系での研究から、植物群集の開花フェノロジーが生物間相互作用にもたらす効果を紹介し、フェノロジー研究のスケールアップの方向性を探る。

[S15-1] 自然条件下における遺伝子機能解析:複雑に変動する気温と季節調節 工藤洋(京大)

[S15-2] 一斉開花現象への遺伝子からのアプローチ 小林正樹(チューリヒ大)

[S15-3] 農業生態系におけるフェノロジー調節の遺伝子-環境相互作用モデルによる理解 中川博視(石川県大)

[S15-4] ランドスケープフェノロジーの生態的重要性 工藤岳(北大)

[S15-5] 高山生態系のフェノロジー傾度と送粉系を巡る種間競争 川合由加(北大)

[S15-6] 一斉開花の森にみる植物ー動物相互作用 *酒井章子(地球研), 鮫島弘光(京大)


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