| 要旨トップ | ESJ57 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


シンポジウム S19 -- 3月19日9:00-12:00 I会場

森林群集の形成メカニズム  〜プロットベースから 景観・地理的スケールまで〜

企画者: 正木隆(森林総研)

日本ではこの20年間、数haのプロットを利用して森林群集の構造や動態の研究がおこなわれてきた。しかし、成熟林が変化するスピードはあまりに遅く、また群集形成のキーとなる自然攪乱もきわめて稀であり、データはまだ不十分である。それに比べて、研究をとりまく情勢の変化速度は早く、研究のホットトピックスや要求されるアウトプットは常に変化し、従来の研究スケールでは対処できなくなりつつある。

空間スケールの観点からは、たとえば生物多様性については今や全球レベルでの保全が関心の対象になっている。時間スケールの観点からは、たとえば気候変動が100年単位のスケールで森林構造・動態におよぼす影響が注目されている。確かにプロットベースでの森林研究は、単体での時空間スケールは小さいが、樹木の基本的な生態を定量的に示すための有効な手法であることにかわりはない。したがって、従来の研究資産をもとに、ネットワーク化や他の手法の援用によってスケールを拡張することが現実的かつ効果的であると考えている。

このシンポジウムでは、数haのプロットから景観、全国スケールまでの空間を対象に、森林群集の動態メカニズムを研究した例を紹介する。そしてプロット研究の拡張性や、より効果的な研究アプローチなどについて議論を深めたい。

[S19-1] プロットデータに基づく樹木個体群動態の種間比較 〜散布カーネルの推定とマトリクスモデル〜 正木隆(森林総研),柴田銃江(森林総研),直江将司(京大・生態セ)

[S19-2] 景観スケールにおける樹木の絶滅確率予測 *石田敏(東北大),中静透(東北大)

[S19-3] 樹木の肥大成長と気候変動 〜地理的クライン検出の試み〜 中川弥智子(名大)


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