| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(口頭発表) F2-06

ニホンジカによる林床環境の改変がオサムシ科に与える影響

*岡田拓也(立正大院・地球),須田知樹(立正大・地球)

2009年6月から2009年10月まで栃木県奥日光のシカ侵入防止柵内外でピットフォールトラップを用いてオサムシ科甲虫を捕獲し、ニホンジカによる林床環境の改変がオサムシ科に与える影響を調べた。調査地は柵内2ヶ所St.1,St.2、柵外はシカ高密度化によっての不嗜好性植物のシロヨメナが繁茂した場所St.3と裸地化した場所St.4の2ヶ所の計4ヶ所に設定した。合計で30種2155匹捕獲し、捕獲数上位3種はコクロツヤヒラタゴミムシの753匹、マルガタナガゴミムシの589匹、クロナガオサムシの398匹で、この3種は全ての調査地の優占3種だった。Shannon-Wienerの多様度指数H’を算出したところ柵内ではSt.1が1.788、St.2が1.572,St.3が1.825,St.4が1.526で柵外のSt.3が最も高く、St.4が最も低かった。また捕獲数上位3種の調査地間の捕獲個体数の差をフリードマン検定、シェッフェの対比較によって検定したところ、マルガタナガゴミムシがSt.3がSt.1に比べて有意に捕獲数が多く、クロナガオサムシがSt.2とSt.3がSt.4に比べて有意に捕獲数が少なかった。以上のことからシカ高密度化によって林床環境が改変されると、多様度指数も変化し、また最優占種のコクロツヤヒラタゴミムシには影響を与えないが、他の2種には影響を与えることがわかった。


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