| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-192

北海道真駒内公園におけるヒラタシデムシとオオヒラタシデムシの種間競争

住友宏幸*,廣田忠雄(山形大理工学研究科)

シデムシ科ヒラタシデムシ亜科のヒラタシデムシSilpha perforataとオオヒラタシデムシEusilpha japonicaは地表徘徊性種であり、前者は飛翔能力を持たず、後者は飛翔することができるがほとんど飛ばないことが分かっている。先行研究において、両種の生息場所の重複度が低いことが報告されており、本研究でもまた同様に、両種が棲み分けている傾向が観察された。ヒラタシデムシとオオヒラタシデムシはミミズなどの土壌無脊椎動物を餌としているため、餌資源をめぐる消費型の競争は生じにくいと考えられる。そこで、本研究では、干渉型の競争が両種の棲み分けを形成している可能性を検証した。

同種の雌雄ペアを3対・6対を一緒に飼育した場合とヒラタ3対とオオヒラ3対を混合飼育した場合に産卵された卵から孵化した幼虫数を比較した。また、季節消長、日周活動性、卵巣発達度から繁殖時期が重複しているかどうかを調べた。

その結果、両種とも同種他個体密度が増えると孵化幼虫数が減少した。しかしながら、他種他個体の影響はヒラタシデムシにおいてのみ見られた。ヒラタはオオヒラタの存在によって孵化幼虫数が同種他個体と飼育したときよりもさらに減少したが、オオヒラタはヒラタの存在に全く影響されなかった。これはヒラタシデムシにとって、同種他個体による負の影響よりも他種他個体による負の影響のほうが大きいと予想される。また、季節消長と日周活動性におおきなずれはなく、繁殖時期も重複していた。つまり、干渉型の競争による孵化幼虫数の減少と活動時期・時間・繁殖時期の重複により、両種の棲み分けが起きている可能性が示唆された。


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