| 要旨トップ | ESJ58 企画集会 一覧 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


企画集会 T07 -- 3月8日 14:15-16:15 J 会場

藻類の群集構造と進化動態~理論と実証~

企画者: 水野晃子(総研大), 吉山浩平(東大・大気海洋研), 田邊優貴子(極地研)

生物間相互作用の中で多様な形質が進化・維持されるメカニズムや、群集動態に対する形質の多様性の影響を明らかにすることは、生物群集の構造・動態におけるパターンとメカニズムの理解を目指す群集生態学の新たな道を拓く上で、重要な役割を果たすと考えられる。藻類には多様な形態・生活史を持つ分類群が含まれており、これらのテーマを深く掘り下げるためには適した対象生物である。また、藻類は地球上の一次生産の約50%を占め、生態系の物質循環を駆動する重要な構成要素である。そのため、藻類の群集構造やその空間パターン形成のメカニズムを探ることは、水圏生態系を理解する上で欠かせない研究テーマである。このことから、基礎的な群集生態学に加えて、進化動態から群集構造、生態系機能までを包括的に理解しようと試みる際には、藻類は理想的なモデル生物であると言えるだろう。

本集会では、理論的手法と実証的手法を組み合わせて、様々な環境における藻類の群集構造と進化動態に対する資源競争や捕食者、物理的環境などの影響を議論する。まず吉山が、植物プランクトンによる光と栄養塩を巡る競争に関する理論を紹介する。次に田邊が南極の湖底藻類群集の鉛直的な色彩パターンとそれを決定する環境要因についての研究を紹介し、水野がそのパターンに対する光阻害の影響をモデル研究で議論する。最後に山道氏が、藻類の対捕食者防御の可塑性と進化が群集に与える影響について紹介する。以上の発表を受けて、藻類を材料に群集構造の創出と進化動態に対して新しい知見をもたらすことを目指す。

[T07-1] 植物プランクトン群集における鉛直分布構造 *吉山浩平(東大・大気海洋研)

[T07-2] 南極の湖底藻類群集における鉛直分布構造 *田邊優貴子(極地研)

[T07-3] 南極の湖底藻類マットにおける鉛直分布パターンモデル *水野晃子,佐々木顕(総研大・学融合)

[T07-4] 捕食者が駆動する藻類群集の可塑性と進化 *山道真人(総研大・生命共生体進化学)


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