| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


企画集会 T08-3

琵琶湖淀川水系における外来水草の現状と課題

野間直彦(滋賀県立大・環境科学)

琵琶湖淀川水系において、特定外来生物指定の水草では、ミズヒマワリ、ナガエツルノゲイトウ、ボタンウキクサ、オオフサモ、オオカワヂシャ、アゾラ類などが知られている。

このうちミズヒマワリは、淀川支流の芥川などで繁茂が知られていたが、2007年に琵琶湖南部への侵入が発見された。琵琶湖では発見直後から、NGO近江ウェットランド研究会が中心となって市民による防除活動が行われ、調査に基づく駆除を20回以上実施し、2011年には根絶の一歩手前までこぎつけた。侵入初期から行動し情報発信を行い、市民・行政と連携・協働することで臨機応変の活動を続けたことが成功の要因と考えられる。

ナガエツルノゲイトウは2004年に彦根市神上沼で初確認されたが、初期防除が行われず、4年後には沼の水域面積7.2haの4割近くを占めるまでに拡大した。さらに隣接する不飲川でも見つかったが、ここでも管理者による初期防除が行われなかっために出水などの際に琵琶湖へ流出し、2009年末には南部をふくむ琵琶湖岸の50箇所以上でも定着が確認され、琵琶湖への蔓延が懸念される事態になった。しかし、地元住民や市民による駆除活動が、彦根市や滋賀県による本格的な防除事業を引き起こすことになり、個体数は激減している。


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