| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(口頭発表) C1-02 (Oral presentation)

白山における白花のハクサンコザクラ集団について

*野上達也,吉本敦子,上馬康生,佐川貴久(白山自然保護センター)

白山を代表する高山植物であるハクサンコザクラ(Primura cuneifolia var. hakusanensis)は、日本の東北から中部にかけての日本海側の高山の湿った草地や雪田に生育する多年生の草本で、白山山系が南限である。これまで白山山系では主に白山山頂部近辺に自生する集団についての調査研究がおこなわれてきた。しかし、今回白山山頂部からかなり離れた地域で、本種の生育が、新たに確認された。本種はピンク色の花が一般的であるが、今回確認された個体群は、多数の白花の個体が見られることが特徴となっていて大変珍しい。さらに、この生育地は標高1,760mと、他の生育地よりも低標高であることもこれまで確認されてきた個体群との相違点である。

これら新たに発見されたハクサンコザクラの現地の生育状況(生育個体数、開花個体数、花色、異型花柱の比など)、アロザイム多型を用いた遺伝的な変異の解析についての結果について報告したい。

このような生育地では集団の規模も小さく、遺伝的に多様性も少なく、環境などの変化によって容易に集団が消滅してしまう可能性が高いために早急にその保全を進める必要がある。


日本生態学会