| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(口頭発表) F2-20 (Oral presentation)

アマチュアによる過去の記録と標本情報による地方菌類相とRDB作成の試み

*佐久間大輔, 今村彰生(大阪市立自然史博物館)

国内フローラの解明が進む植物と異なり菌類は肉眼的な識別がかなりの程度まで可能な大型菌類(いわゆるキノコ)に限っても、国内の菌類相は不十分である。しかし、近年、菌類インベントリーの動きは職業研究者・アマチュア共に活発化が見られ、日本産菌類集覧(勝本)など集大成的な出版と共に、千葉県菌類誌(千葉中央博)・入生田菌類誌(神奈川県博)など博物館などを拠点に地方の菌類誌作成も見られる。

大阪府下には旧制師範学校時代を含め、菌類研究の拠点がなく集成的な菌類研究が行われてこなかったが、関西菌類談話会の活動や大阪市立自然史博物館の活動などにより、標本が集積されつつある。一方、京都府下においては2002年の京都府RDB作成時に、積極的な観察情報など菌類情報の収集が行われている(京都府自然環境目録)。これ以外にも京都府林業試験場、京都大学の研究者、そして関西菌類談話会の活動により、多くの菌類情報が集められているが、自然系博物館がないために情報の集約拠点がなかった。

本研究では、自然史博物館に収蔵されている本郷次雄菌類コレクションを含む1万5千点を超える菌類標本とともに、これら過去の研究・アマチュアの観察活動に基づいた多数の文献資料を基礎に、今後の調査の基盤となる、基礎資料作成を試みた。その一端について、テングタケ属を中心に報告する。

また、里山のマツ林の衰退、ナラ枯れ、常緑シイカシ林の拡大などの植生変化に対応した変化も踏まえ、RDBへの応用についても試みる。


日本生態学会