| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(口頭発表) H1-06 (Oral presentation)

農耕地における外来植物種子の駆除を目的とした蒸気処理効果

*西村愛子,浅井元朗,黒川俊二,澁谷知子(中央農研),中村浩也(丸文製作所)

近年,多くの外来雑草が農耕地で蔓延し,作物の減収や品質低下といった生産阻害を引き起こしている.このような外来雑草の防除対策として,埋土種子集団のサイズ縮小と低レベルでの維持管理が重要となる.土壌の蒸気処理技術は土壌殺菌などを目的として古くから行われてきたが,埋土種子を駆除対象とした雑草管理技術としても期待される.多くの種子は生理的・形態的に様々な休眠性を持ち,埋土種子集団を形成することで発芽に好適な環境になるまでのリスク分散を行っている.頻繁に耕起される攪乱環境下では,埋土種子の垂直分布の違いにより休眠程度が異なり,それらに種子形態や種子サイズなど形態的特性が大きく関与する.本研究では,埋土種子の土壌中深度分布と種子形態に着目し,特性の異なる耕地一年生雑草5種を対象に蒸気処理効果の比較を行った.蒸気試験は2圃場において,土壌4種+種子埋設2深度および蒸気4水準+土壌表層の設定で人工的な埋土種子集団を供試し,過熱蒸気による瞬間最高地温90℃前後の短時間高温処理を行った.各処理後,発芽数の記録と未発芽種子の生死を判定した.土中に埋設した種子は,無処理と比較すると蒸気処理種子の発芽率が高く,処理による発芽促進効果が見られた.また,その効果は土壌の種類,草種別により大きく異なることが示された.種子の埋設深度が深いほど,無処理種子の発芽率は低下するが,蒸気処理による発芽率の変化は土壌の種類,草種別により異なった.一方で,土壌表層種子に対する蒸気処理では,最大蒸気量の処理において高い死滅率を示し,蒸気量の減少に伴い死滅率が低下した.蒸気処理によって無処理より未発芽生存率が高まる草種もあり,休眠誘導が生じた可能性が示唆された.以上の結果より,土壌の表層上部における埋土種子には,高い死滅率と発芽促進効果が認められ,蒸気処理による埋土種子管理の有効性が示された.


日本生態学会