| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-120J (Poster presentation)

地区スケールでの鳥類群集の組成に影響を与える環境要因は何か?

大山ゆりあ, 相澤章仁, 加藤顕, 小林達明(千葉大・院・園芸学)

都市に点在する小・中規模の緑地が鳥類の多様性を保持するための生息地として機能するには、個々の緑地スケールで鳥類相が貧弱であっても、地区スケールでみた時に地区内の緑地を利用する鳥類が異なる種組成をもっていることで、全体として高い種多様性を保持していることが望ましいと考えられる。本研究では、いくつかの小規模緑地を含む「地区」スケールに着目し、様々な体系の緑地を含む地区が、地域内の大規模緑地に匹敵する種多様性をもっているのかを検証することを目的とした。多様な緑地環境を有する千葉県松戸市を対象として、市街地・住宅地・農地・大規模緑地という4つの土地利用タイプから2地区ずつ計8地区を選定した。更に地区の中で6~9箇所の調査地点(総計 60地点)を任意で設けるという階層性を持った調査デザインを導入し、各調査地点で15分間の定点観察を行い鳥類の種数、個体数を記録した。調査は2011年2月から5月および2011年11月から2012年1月の間に各調査地で6回ずつ行った。

鳥類調査の結果、全調査地点で観察できた鳥類種数は53種であった。全種数から水鳥を除外した42種の種分布のパターンを明らかにするためNestedness Temperature Calculator(Atmar and Patterson, 1993)を用いて解析したところ、地区の種組成は入れ子構造となっていた。このことから、市全体のスケールでみると、小規模緑地の集まりは大規模緑地ほどの種多様性を保持していないことがわかった。しかし、地区ごとに行った解析では5地区が入れ子構造を示し3地区が当てはまらず、地区によってパターンが変化することが分かった。つまり、地区スケールでみると、条件によってはそれぞれの調査地点の緑地が地区の種多様性を補完しあっているといえる。


日本生態学会