| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-143J (Poster presentation)

Composition of floral traits in a plant community sharing pollinators

Lina Kawaguchi*(Kyushu Univ.)

群集内で同じ送粉者を利用する植物種どうしは、しばしば送粉者の訪問の頻度や質を低下させあう競争的な関係にあると考えられている。その一方で、種間の促進的な関係を指摘する見解もある。送粉者を介した植物種間の相互作用は、どのような花形質を持つ種が群集内で共存しやすいかを左右すると考えられる。ところが、群集内の植物種の花形質に関する従来の研究では、種間の促進効果はほとんど考慮されていない。すなわち、同時期に咲く植物は、送粉者をめぐる競争を緩和するように種間で花形質が多様化すると考えられてきた。しかし、数少ない検証例ではこの仮説は必ずしも支持されていない。たとえばGumbert ら(1999)は、群集内で同時期に開花するハナバチ媒植物は花色がたがいに異なるとは限らず、むしろたがいに花色が似かよっている場合もあることを示した。著者は、競争と促進の両方を考慮することで、群集を構成する植物種の花形質を説明しやすくなると考える。そして、この植物種間の競争と促進のバランスに大きく影響しそうな要因として、種間での開花期の重なり度合いに注目する。種間で開花期が前後していて重なりが小さい場合、送粉者は通いなれた花に色や形の似た種を利用することで新しい花の探索や学習にかかるコストを節約できる。よって、花形質の似ている種ほど群集内で共存しやすいと予測される。一方、種間で開花期が大きく重なっていると、送粉者が色や形の似た複数種の花のあいだを行き来してしまい、種内交配の機会が減るだろう。したがって、この場合には花形質が異なる種ほど共存しやすいと予測される。本研究では、福岡県糸島市井原山の落葉樹林において、マルハナバチに訪花される植物群集の開花フェノロジー構造を調べ、種間での花形質の類似度を色と形態から評価することで、上記の予測を検証する。


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