| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-344J (Poster presentation)

特定外来生物ナルトサワギク(Senecio madagascariensis) の異なる防除手法後の再生過程

*藤原道郎(兵庫県大院・緑環境景観マネジメント/淡路景観園芸)・菅野浩樹・近藤昭広(兵庫県淡路県民局環境課)

兵庫県淡路島南部は特定外来生物ナルトサワギクの分布が著しく,抜取り防除後の再定着も認められる.そこで効果的な防除手法の確立のために,南あわじ市牛内地区のナルトサワギクが優占する畑耕作跡地内に約10×10mの野外防除試験区を設定し,抜き取り,ブルーシート被覆,50倍希釈グリホサート系除草剤散布,同25倍散布による防除(各2×2m方形区)を2010年11月4日に行い,植被率,植物体高,開花数等を記録することから,枯死状況とその後の再生過程を明らかにした.防除前のナルトサワギクの植被率は全ての実験区において80%を超えていたものが,ブルーシート被覆,除草剤散布の5日後にはナルトサワギクの枯死による植被率の低下がみられた.除草剤の濃度による違いは見られず25日後には植被率は0%となり,ブルーシート被覆においても80日後には植被率はほぼ0%となった.無処理区においても75日後の2011年1月13日から気温低下に伴う植被率の低下がみられた.開花数は10月末と5月末にピークがあり,結実は11-1月と5-6月の年2回のピークがみられた.抜き取り区では処理後15日後の11月19日には種子発芽による実生が確認され,その後植物体高と被度の増加がみられた.除草剤処理区では枯死植物体が地表面を覆っており,種子発芽による実生は処理150日後の2011年4月4日までみられなかった.抜き取り区,除草剤散布区では,その後,急激な実生の成長が続き210日後の6月下旬には植被率60%を超えた.以上の結果より,全ての処理で防除効果があったものの,新たな種子発芽を抑制することが重要であり,11月から1月の間に裸地をつくらず,地表面を覆う効果を夏期まで持続させることが,防除後の再生を防止するために必要であると考えられた.


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