| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-107J (Poster presentation)

ミズキとウワミズザクラの置き換わりに及ぼす病原菌と菌根菌の影響

*バインダラ,深沢遊,清和研二,東北大学農学研究科

親木周辺の病原菌が同種実生の死亡を引き起こすことにより他種実生の更新が促進され、森林の局所的な樹種多様性が保たれる仕組みをJanzen-Connellモデルという。Janzen-Connellモデルは熱帯林及び温帯林の種多様性を説明する有効なモデルの一つであり、多くの実証例が報告されている。しかし、Janzen-Connellモデルは閉鎖した林内を想定したモデルであり、ギャップ等光条件の良い環境で実生の成長・生存を促進している菌根菌の影響を考慮していない。そこで本研究では、森林の樹木の更新及び種多様性維持メカニズムにおける病原菌と菌根菌の相対的な重要性を明らかにすることを目的とする。ギャップと林内、に生育するミズキとウワミズザクラ成木下に2種の種子を播き、これら2種の実生の生存・成長に病原菌・菌根菌がどのような影響するのかを調べた。

暗い林内ではミズキ及びウワミズザクラの成木の下では、それぞれミズキ輪紋葉枯れ病とウワミズザクラ角斑病により、同種実生の死亡は他種より高かった。一方、明るいギャップでは、ミズキとウワミズザクラ両方の成木下で、実生の死亡率には同種・他種の差は見られなかった。ギャップでも病原菌の高い感染が見られたが、死亡率が低かったのは菌根菌による防御が働いているのかもしれない。その点にも注目して報告する。


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