| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-250J (Poster presentation)

生態学で地域活性化ができるか

森 豊彦,京大生態センター協力研

集落の地域活性化を支援する目的で、京都府京丹後市内の10世帯以下の15集落を対象に、2008年からPCM手法を参考に計画立案し、参与観察手法で活動を行っている。2010年、京丹後市網野町仲禅寺(ちゅうぜんじ)を地域活性化モデル集落に選定し、生物資源調査を行った。2011年よりプロジェクトリーダーが京丹後市水と緑の里づくり支援員に認定され、補助金が毎月少額支給されている。以下に仲禅寺区の概要を示す。(社会環境)①歴史文化:約1300年前に天台宗中央山仲禅寺が創立されたが、約450年前に焼失。京丹後市指定文化財の仁王尊像が残存。②世帯数9戸。②主産物は米、桑の葉、そば。(自然環境)①地形・水系:標高100m未満、水源の里。②植生は広葉樹林優占。京都府レッドデータブックによる絶滅寸前種1種、準絶滅寸前種5種を確認。

基本方針は、①経済と意識の活性化、②地域と産物の生態的ブランド化、③自然環境保全等である。方法は、仲禅寺の認知度を上げ、地域間の交流の場を創出する目的で、2010年、2011年に仲禅寺・生命の里・写真コンサートを開催した。生態的なシンボルをモリアオガエル、文化的なシンボルを仁王尊像として広報し、特産物販売、自然と文化の観察会、写真展、映像コンサートを実施した。成果は、①生態的なシンボル名のモリアオガエル米、モリアオタマネギ、文化的シンボル名の仁王そば等が試作、販売された。地元企業による桑の葉の加工産物も販売された。②自然観察路の整備、モリアオガエル池の整備等が行われた。③仲禅寺の認知度が著しく向上した。進行中企画は、①定住者確保と都市農村交流の場を創出する古民家を再生中、②集落全体をビオトープ園化することを計画中、③各集落の経済と意識を連結し、強化して網目状の地域活性化を調整中等である。③空屋整備等の自然景観保全案を各地区が検討中である。


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