| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-268J (Poster presentation)

Habitat Suitability Index(HSI)モデルを用いたツキノワグマと人の接触事故の要因分析

*高嶋亮輔(大阪大・工),町村尚(大阪大・工),松井孝典(大阪大・工)

ツキノワグマは地域によって絶滅危惧種に指定されており,保全や個体数の回復に向けた取り組みがなされている.一方,近年ツキノワグマによる人身被害や農作物被害は増加傾向で,多くの個体が有害獣捕獲により捕殺され,社会問題となっている.そこで,ツキノワグマとの人身事故を誘発する要因について解明し,人身事故リスクが高い地域を明らかにすることを研究の目的とした.

本研究では,HSI(Habitat Suitability Index)モデルを用いて,秋田県におけるツキノワグマの潜在生息適地やその周辺の生態環境を評価した. HSIモデルは食物条件と森林規模・連続性条件,カバー条件によって規定される(財)日本生態系協会の「ツキノワグマのHSIモデル ver.1.0」を適用した.対象地を5kmメッシュに分割し,環境省の第2~5回自然環境基礎調査の植生データと秋田県における過去11年間のツキノワグマとの人身被害データを基に,GISを用いてツキノワグマの潜在生息適地と人身事故発生地の関係について解析した.また,土地利用を森林,農地(田・その他の農地),住宅地に分類し,事故発生地との関係についてGISを用いて分析した.土地利用データは国土交通省の国土数値情報・土地利用細分メッシュデータ(100mメッシュ)を用いた.

秋田県(N=551)において,ツキノワグマの生息に最も適した区画(HSI=1)が139(約25%)で,全体のHSI平均値は0.73と高かった.HSIの値を0〜1まで0.1毎に区分すると,人身事故の発生件数はHSI=0.9〜1.0が42件と最も多かった.しかし,人身事故の発生率で見るとHSI=0.2〜0.29,0.4〜0.49の間で50%と最も高かった.さらに,人身事故発生地と環境要因との関係について考察した.


日本生態学会