| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-HS35J (Poster presentation)

和歌山市内におけるトタテグモ類に関する研究

川久保智志, 音綿洸志, 新家佑城, 竹中源 (和歌山県立向陽高等学校)

私たちは環境省の準絶滅危惧に指定されているキノボリトタテグモ(Ummidia fragaria)に関する研究を行った。キノボリトタテグモは原始的なクモで、他のクモとは繁殖方法が違い生息環境の変化における適応力も弱いので、今日は減少傾向にある珍しいクモである。「なぜこのクモが珍しい存在になってしまったのか」「どうすれば保護していくことができるのか」と考え、このクモの生態と分布について調べてみることにした。

実際の研究としては、和歌山市内の神社を中心にその分布を調べ、生息域を推測した。また、巣の縦と横の長さを測定し、その測定値から巣の大きさと体長の関係をあらわす式を導き、黄金比を求めた。さらに、自作の巣箱でクモを飼育し、巣にはどのような材質が適しているのかを調べるために折り紙を使った実験を行い、巣の材料として折り紙も使用することを確認した。

和歌山県では、キノボリトタテグモの実態が十分に把握できていないため、未だにレッドデータブックに掲載されていない。この研究を通して、キノボリトタテグモの生態を明らかにし、このクモの珍しさや生態の面白さを伝え、最終的には保全などに役立てたいと考えている。地道な観察が主な内容になるが、さらに研究を継続していきたいと思っている。


日本生態学会