| 要旨トップ | ESJ59 企画集会 一覧 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


企画集会 T09 -- 3月18日 17:30-19:30 K会場

森林の“境目”の生態的プロセスを探る

企画者: 酒井敦(森林総研・四国), 山川博美(森林総研・九州)

日本の森林は境界だらけである。すなわち,人間による伐採・植林活動の結果,人工林と自然林(広葉樹二次林や天然林)がモザイク状に混じり合って分布し,両者は通常明瞭な境界線で区切られている。この境界線を介して二つの林相の間には様々な相互作用が働いている。自然林の分断は,動物の移動や種子生産効率,さらには遺伝的多様性にまで影響を及ぼしていると予想される。また,人工林側から見れば,自然林は種子の供給源であり,人工林内のシードレインは,自然林からの距離に強く影響を受けているだろう。トリやネズミなどの種子散布者の行動や菌根菌の菌相なども,境界域で距離依存的に変化しているに違いない。このような生態的プロセスを経て,人工林の林床植生や埋土種子の空間分布が規定されていると考えられる。

さらに,境界域の影響は意外と広い範囲に及び,境界域での生態的プロセスが林分全体の植生構造と深く関わっているのではないだろうか。この企画集会では北海道から九州までの森林の“境目”における生態的なプロセスを,主に人工林側からの視点で探求していく。

[T09-1] 広葉樹林に隣接するトドマツ人工林での種子散布 今博計,明石信廣,南野一博(道総研・林業試)

[T09-2] スギ人工林における広葉樹の定着-広葉樹林からの距離及び間伐の影響- 清和研二,宇津木栄津子,安藤真理子,江藤雪乃,日下雅広(東北大・院農)

[T09-3] スギ人工林とそれに隣接する落葉広葉樹林における実生の菌根タイプと感染率の違い 九石太樹(東北大・農),深澤遊,清和研二(東北大・院農)

[T09-4] 照葉樹二次林に隣接する伐採跡地における6年間の種子散布 山川博美(森林総研・九州),伊藤 哲,中尾登志雄(宮崎大・農)

[T09-5] 九州南部の森林景観における林相の異なる林分間の鳥類の移動 平田令子,伊藤哲(宮崎大・農)

[T09-6] 林相境界付近における野ネズミの種子散布効果 中村麻美,大石圭太(鹿大・院連農),平田令子(宮崎大・農),畑邦彦,曽根(鹿大・農)


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