| 要旨トップ | ESJ59 自由集会 一覧 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


自由集会 W22 -- 3月17日 17:30-19:30 L会場

Biodiversity in ours  -外からの生物多様性と内なる生物多様性-

企画者: 嶺田拓也(農研機構・農工研), 日鷹一雅(愛媛大・農)

本学会では,里山・里海・里地における生物多様性の解明や保全に関して,これまで基礎から応用まで幅広いアプローチと諸議論が行われてきた。農山漁村の生物多様性の特徴は,そこに居住してきた人々の暮らしと生きものとの織りなす関係性の豊かさにある。しかし,農山漁村の生物多様性研究に際して,私たちは単に対象となる生物の生態記録や観察にとどまったり,また種や群集あるいは遺伝子レベルでの記載・解析に終始しまいがちである。また,私たちは調査・研究のために農山漁村に短期的に住み込むことはあるものの,多くの場合,その地に長く居住してきた人々と生きものとの関係性の豊かさの記述までには踏み込めていないのではなかろうか。

そこで,この自由集会では,私たち研究者をはじめとする都市住民たち外部者が農山漁村の生物多様性を捉えてこようとしてきた視点を「外からの」,そして,農山漁村の在地の居住者たちの視点を「内からの」と定義し,改めて農山漁村における生物多様性や生態学研究のあり方について,民俗学など生態学の「外からの」視点にも「謙虚」に学び,いかにして「内からの」生物多様性にもアプローチしていけるかを考える場としたい。

話題としては,農山漁村の「湖水」「里地」「海辺」の各暮らしから垣間見られる「内なる生物多様性」に関し,民俗学や市民活動などの分野からも演者を迎え,多様なアプローチを紹介したい。さらに,「内なる生物多様性」の再生に向けて取り組んでいる愛媛県の事例も報告する。

なお,本自由集会は,企画集会「里山における在来知と生物多様性」とも連携する。

里地里山の「内なる生物多様性」への民俗学からの視点 山下裕作(熊本大学大学院社会文化科学研究科)

湖国の農家・漁師にまなぶ生物多様性 菊池玲奈,本多 清(アミタ持続可能経済研究所)

海の「内なる多様性」を学ぶツール “チリメンモンスターをさがせ!” 平田慎一郎(きしわだ自然資料館)

内なる生物多様性を基軸とした「生物多様性えひめ戦略」 重川光正,山中美幸(愛媛県自然保護課)


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